昨晩こんな夢を見ました。?
灰色の雲が暗く空を覆い、風が強く、激しく雨が降っている。時折、雷鳴が耳をつんざく。風雨から身を隠すものなど何もない荒涼たる野原を僕は重たい荷を背負い歩いている。泥濘が僕の足取りを重くし、冷たい雨が顔を打つ。向かう先、微かに僕の目指す塔が見える。雷鳴が轟く度に、その丸みを帯びた輪郭が空を走る雷光に白く浮かび上がる。それは仏塔のようだ。塔に着けば、背中の荷と引き換えに僕はそこに住む老師からマントラを授けられる。そのマントラを唱えれば、僕は悟り、あらゆる苦悩から開放される。そう信じて、風に向かい体を斜にし、雨に打たれながら、僕は嵐の中を歩いている。
幾日も休むことなく、空腹に耐え、ずぶ濡れになって、僕は嵐の中を塔に向かった。けれども、どれだけ先に進んでも、塔は一向、僕に近づかない。向かう先、塔は遠く、微かに見えるままである。嵐はまるで治まる気配を見せない。風は強く、大粒の雨が激しく降り続く。背中に負った荷は石のようで、その紐が深く僕の肩に食い込む。冷たい雨が容赦なく僕から体力を奪う。足は鉛のように重くなり、寒さに体の震えが止まらない。それでも、僕は最期まで残った力を振り絞って、嵐の中を歩き続けていたが、歩めど、歩めど、少しも近づくことがない塔との絶望的な距離が僕から最後の気力を奪った。薄れ行く意識の中で、僕はマントラも、悟りも、どうでもよくなった。精魂が尽き果て、僕はもう一歩も歩けず、その場に倒れた。それで、倒れ際にふと後ろを振り返ったら、雲ひとつない晴天だった。?
Nakatani







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